最初に物語を綴ったのはいつの頃だっただろう。
正確な時代は覚えていない。そもそも、最初に書かれたものが何だったのかもわからないし、残ってもいない。 それが小説、あるいは物語といった形にいつなったのか。 いや、まだそういった表現をするには足りないただの言葉かもしれない。
いくつかのWebサイトを造り、壊して、ここまできた。 このサイトだって、何かの弾みで失われてしまうかもしれない。 まぁ、それはその時の話だ。
今の時代に個人Webサイト。 そんな気持ちがないわけではない。 小説投稿サイトなんて、いくつもあるし、そこの方が見つけてもらえやすい。 そう思っていくつかのサイトを触ってみる。 解っていた。 そういう事ではない。
隅から隅まで自分の思い通りにしないと昇華されないものがある。 それがただの自己満足だとしても。
ここには誰が来たというアクセス解析も無いし、評価ボタンもない。 誰かのためでなく自分のための物語なのだ。 それぐらいがいい。 この広い世界の片隅にある小さなサイトに、偶然訪れた人に少しでも何か残せれば、それは幸せな事なのだろう。 そのための文章じゃないにしても。
ここに書かれていることはすべて、空想の産物、空想の糸で織られたタペストリーに過ぎない。
すべてのシナリオ、登場人物、出来事は、現実の領域からではなく、心の無限の狭間から生まれてきたもので、それを丹念に組み上げた一枚の布だ。
その行為は事実や歴史を記録するためではなく、フィクションという虚構の領域に踏み込むためである。
この領域では、自然の法則は物語に合わせて曲げられ、不可能は物語を語るための単なる背景となる。
はっきりさせておこう。私はフィクションを書くのであり、フィクションだけを書くのである。
2024.02 武沢 悠